キャリパー塗装について(ホルツ・ヒートペイント)


※ここに掲載する内容は、掲載される企業などを中傷するものではありません。
自分の乗る車のブレーキキャリパーに塗装をおこない、ペイントを剥離しなければならない状況に至った体験と、メーカーからアドバイスをいただいた内容から、ペイントに合った塗装作業を行わなければ本来の製品の味が発揮されないことなど、製品の説明書きや、一般的な知識では得られない情報を公開し、これが多くの方々の参考となれば幸いと考え掲載させていただいております。
ホルツ ヒートペイント レド
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カーショップなどで一般的に販売されている、ホルツのヒートペイント
製品の説明にあるように、ブレーキキャリパーやエンジンヘッドなど、耐熱性の必要な場所に塗装してドレスアップを行っている方が多いと思う。
私も、このホルツのヒートペイントを使用して、ブレーキキャリパーの塗装を行った。
説明書きにあるように、下地の処理を行い、塗装しては、乾燥を待ち、数回の重ね塗りを行い、左のようにキレイなツヤのある赤に塗装することができた!
ホルツ ヒートペイント レド
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ところが、しばらくしてブレーキダストなどの汚れを落とそうと思ったが、ダストなどが塗装に付着(染み込んでしまっている状態)し、洗い流すだけでは汚れが落ちない。
そこでブレーキパーツクリーナーにて拭き取ろうとすると、塗装が溶けて、汚れと混ざり状態は悪化するだけだった。
半ば諦めてそのままにしていたら、今度は左のように気泡が発生して、益々悲惨な状態となってしまった!
このような状態になってしまったため、製品に問題があるのではないか!?
そんな思いが浮かび上がり、塗装の状況を細かく記載し、メーカー(ホルツ)に問い合わせを行ってみた。
結果、製品に問題があるものではなく、塗装に少しばかりコツが必要であると、回答があった。
とても参考になると思うので、その回答の内容を掲載しますので、塗装の際の参考にしていただきたい。(内容については、メーカーの許可をいただいて掲載しております)

<メーカーからの回答>

お写真拝見いたしました。
塗装状況の説明を詳細にしていただきありがとうございます。
下記、シリコン樹脂系耐熱塗料全般の硬化時における性質・特性を含めて記載いたします。既にご承知の内容や推測の見解も含みますことを予めご了承下さい。

◆キャリパー写真の症状から
①細かな気泡が発生している:
これは、耐熱塗料の熱硬化時に発生するガスによって、細かな火ぶくれ状のものが発生しているものです。
★この症状が出るケースは、塗膜の厚みが厚い場合に発生する現象です。
●熱硬化時には塗膜表面から薄っすらと煙状のものが立ち上るのが見て取れます。この煙に見えるものが熱硬化反応時に発生するガスです。
膜厚が厚い場合、下層の塗膜の熱反応ガスが上手く逃げられず、塗膜内で膨らむという現象です。
*注:シリコン樹脂系耐熱塗料の塗膜は、熱硬化中は指紋が付くような柔らかな表面状態になります。

★参考:
他社hp耐熱塗料専門のサイトで解説がありましたので下記URL添付いたします。
http://www.spcoat.co.jp/method.html → 耐熱塗料の塗布方法と注意事項 膜厚および初期加熱 参照
http://www.daishin-paint.co.jp/therpass%20new%20line.html#tyuui →塗装上の注意事項 5 参照
http://www.okitsumo.co.jp/01_products/gaiyo.php →Webページ 中段よりやや下 膜厚と初期加熱 参照(こちらは図解があります)

②汚れを落とそうと、パーツクリーナーなどで拭き取ろうとすると塗装は溶ける:
*パーツクリーナーの成分が不明ですが、塗装全般に使用可能の製品として見解いたします。
*弊社製品取り扱い説明書では、完全硬化前の使用は推奨しておりません。
●塗膜が溶ける症状は、塗膜が完全に熱硬化していない、不完全な塗膜状態のために起こっているものと判断いたします。
*注:完全硬化した塗膜であっても、塗料用ラッカーシンナーなどの溶剤では塗膜が溶けます。
●上記①の細かな気泡発生の状況、及びパーツクリーナーで溶けるということから、写真の塗膜はまだしばらく硬化反応を継続する硬化未完了の塗膜と判断できます。
●本製品は、熱硬化120℃〜200℃で10分以上加熱を推奨していますが、120℃X1分X10回のような断続的な加熱の場合、なかなか熱硬化が完了しません。
★冷間時に、塗膜を触って柔らかい感じがする場合、パーツクリーナーの溶剤を吸い込んだことによって、塗膜が軟化して元に戻れない状態と推測いたします。

◆インマニの塗装:
塗膜の状態を拝見していないため、推測の見解をいたします。
●熱硬化反応中の塗膜は上記①で記載しましたとおり、熱硬化中に指紋がつくような軟化をする性質があるため、その途中でホコリなどを取り込んでしまったものと推測いたします。
●キャリパー同様、気泡が発生しているということから、上記キャリパーと同様の見解をいたします。

◆総合判断:
塗装にかなり慣れておられるということから、入念な下地処理から奇麗な塗りあがりとなっていたことは想像できます。
塗装に慣れていて、ツヤのある奇麗なスプレー塗装(またはハケ塗り)が出来る技術をお持ちであったことが、かえって耐熱塗料の熱硬化におけるマイナス要因である、厚い塗膜が出来上がってしまったために起こった症状と判断いたします。
●本製品は不良品との判断を致しかねます。

◆再塗装するための、現状塗装の剥離方法:
*既にご存知の内容を含みます。箇条書きになりますことご了承下さい。
パーツクリーナーで溶けるということから。
①パーツクリーナーを吹き付けるか、またはラッカーシンナーを刷毛などで塗膜に染込ませ十分軟化させる。
②木ベラやプラヘラなどで、軟化した塗膜表面を掻き取るようにして、大まかに落とす。
③残っている塗膜を、ラッカーシンナーをつけた刷毛や歯ブラシで、洗うようにしながら表面や入り組んだ箇所の塗膜を落とす。
*刷毛は大小を使い分けると良い。
*時々、キッチンペーパーなどで表面を拭き取りする。
*縁の部分は布にシンナーを含ませたもので拭き取ると、キャリパー内側に溶剤が流れにくい。
④全体に塗装が落ちたら、ブレーキクリーナーやパーツクリーナーで最終洗浄する。

上記、弊社の見解とさせていただきます。何卒ご了承下さい。

上記の回答は、塗装を行う上でとても参考になると思います
☆厚塗りは厳禁!
☆塗装を硬化させるのに乾燥だけではなく、加熱が必要であること!
このへんの最低限のことはキッチリと記載しておいて欲しいところだ。
しかし、インマニなどは、塗装硬化に必要な加熱がされるのだろうか?

試しに、他の車のインマニカバーの車のロゴ部分に塗装を行ってみた
インマニのカバーのため、加熱はほとんど無い状態と思われるが、今回は厚塗りを避けたため、塗装に気泡が発生するなどのトラブルは発生していない。
が、加熱による硬化はされていないと思われるため、汚れの処理には気をつかわなければならないのかな!?

今後、このヒートペイントに関しては、説明書の見直しを行い、また、スプレー缶には一般的な表記しかされていないが、ヒートペイントについては、ヒートペイント専用の説明書きに改めるそうだ!
スクレパーで塗装をおおまかに削ぎ落とし、ワイヤーブラシで磨き、ラッカーシンナースプレーで塗装を溶かしながら拭き取り、ブレーキパーツクリーナーで仕上げ!

1日がかりの作業になってしまった。。。

この情報を参考に、同じような失敗をしないように
d(-_^)d!!

しかし !Σ(◯o◎;)

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